楽々ライフ

楽に生きて、楽しく生きる。

夏休みの自由研究:オリンパス粉飾について

 お盆休みはどこにも行けなかったので、積読本を読み進めた。その中で、細野裕二さんの『粉飾決算vs会計基準』を読んでいる。仕事上、粉飾決算には興味があり、粉飾スキームを勉強している。私のような簿記1級勉強中レベルでは難しい内容のため、このブログでは理解したことを整理するためにも、オリンパス粉飾事件をまとめてみた。内容に誤りがありましたら誠に申し訳ありません。

 粉飾事件があったのは2011年頃で、私は新卒で社会人デビューしたころだ。こんな大事件があったことを知らなかった自分が恥ずかしい。オリンパスのイメージはカメラもそうだが、医療関係のデバイスに強いぐらいしか知らない。内視鏡とかその程度だ。 

 

オリンパス粉飾概要

 1990年にバブルが弾け、オリンパス財テクで増やした金融資産が大暴落し、約960億の含み損を保持した。含み損率は960/1,450=66%以上で、金融商品会計基準適用初年度 の2001年3月期以前の取得原価主義会計で評価するにしても、簿価に対して時価が約50%以上下がれば、時価まで強制評価減することが求められる。

 しかし、オリンパス経営陣は時価評価減せず、損失分離スキーム、いわゆる「飛ばし」を行った。これは、複数の受け皿ファンドにオリンパスが金を流して、受け皿ファンドはその金で含み損付きの有価証券を簿価で購入する。オリンパスは簿価で有価証券を売却することが重要で、BS上はきれいさっぱり、有価証券が現金等に様変わりする。

 金の流し方だが、現金を直接流すと短期貸付金とかの扱いになり、財務諸表に表示されてしまう。そこで、オリンパス自身の預金や国債を担保にし、海外銀行から金を借りてそのまま受け皿ファンドに金を流す。こうすれば社内では金は動かない。

 次に、受け皿ファンドの含み損を解消するべく、アルティス、NEWS CHEF、ヒュー マラボの国内3社の会社を、将来有望な価値のある企業をいち早く目をつけてたのごとく超いい加減な株価算定を行い、アルティス281億円、ヒューマラボ224億円、NEWSCHEF211億円、総額716億円の超高額買収を行った。横尾社長率いるグローバルファンド等は「飛ばし」を仲介し約700億円近くの利益を手に入れ、その利益で含み損解消にあてた。

 しかし、分離損失スキームの維持費やファンドの人件費等が膨らみ、約700憶円債務が残った。最後の仕上げとして、イギリスのジャイラスという会社を買収する際、アクシーズという証券会社に仲介役を依頼し、買収成功報酬を含み損解消に補填した。また、成功報酬はジャイラス取得時にかかった「のれん」として計上し、のれん償却に充てた。

 

感想

 よく20年もばれずにこれだけの巨額な粉飾を行ってきたことが驚きだ。それに、この粉飾は非常に巧妙で、内部リークがないと絶対ばれないだろう。鮮やかすぎる。

 素直に財テク失敗しましたと、認めたほうが費用はかからなかった思う。無駄に損失分離スキーム維持に金かかってるし、結局ばれて信用失うは、全然良いことないじゃん。動機はカメラ事業の売れ行きが伸びなくなり、財テクでまかなおうとしたのが失敗だ。これが上手くいけばよかったのだろうけど、製造業のオリンパスが巨額の金融商品を扱うのはリスク高すぎる。教訓は、門下外の分野に手をハイリスクで手を出すのは危なすぎる、ということだろう。

 

参考文献およびweb

 

粉飾決算vs会計基準

粉飾決算vs会計基準

 

 

サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件

サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件

  • 作者:山口 義正
  • 発売日: 2012/03/29
  • メディア: 単行本
 

 

 オリンパス三者委員会調査報告書_要約版

https://www.olympus.co.jp/jp/common/pdf/if111206corpj_1.pdf