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建設業における収益認識基準に関する会計基準

建設業の会計基準である、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第18号「工事契約に関する会計基準の適用指針」は廃止される。新たに、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」が平成33年4月1日以降から強制適用される。

 

何が変わるのか?

 

工事進行基準の適用について


 現行では、工事契約については、「工事契約に関する会計基準」 に基づき、①工事収益総額、②工事原価総額、③決算日における工事進捗度、について信頼性をもって見積もることができる場合には原則として工事進行基準を適用するとされています。この点、本会計基準においては、工事契約における履行義務が一定の期間にわたり充足されると判断される場合に、工事進行基準を適用し、それ以外の場合には工事完成基準を適用することとなります。ここに工事契約において一定の期間にわたり充足される履行義務と判断されるためには、次の2要件(本会計基準第38項(2)(3))のいずれかを満たす必要があります。

  • 第38項(2)                                             企業が顧客との契約における義務を履行することにより、資産が生じる又は資産の価値が増加し、当該資産が生じる又は当該資産の価値が増加するにつれて、顧客が当該資産を支配すること
  • 第38項(3)
    次の要件のいずれも満たすこと
    ①企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること
    ②企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること

出典:新収益基準の建設業に与える影響② | 建設×ITナビ by 内田洋行ITソリューションズ

 

第38項(2)は、建物とかは工事が進捗するにつれ資産価値は増加すると思うから、基本当てはまると思う。建設業で不適用の場合の方が珍しいのでは?

第38項(3)①は、建物とかを別の用途に転用なんてまず出来ないと思うから、これも当てはまると思う。②が少しネックで、仮に建設が途中で中止になった場合でも途中完成までの対価を強制的に受け取れることが条件。顧客からしたら、なんで払わなきゃならん理由で揉めそう。これは厄介だ。

 

第187回 収益認識会計基準の下での工事進行基準の取扱い|ZEIKEN Online News|税務研究会www.zeiken.co.jp

www2.deloitte.com

『収益会計の現状と課題最終報告書』日本簿記学会実務研究部会 2018/8 https://www.bokigakkai.jp/wp-content/uploads/divisionreports/boki_practice_finalreport2018.pdfhttps://www.bokigakkai.jp/wp-content/uploads/divisionreports/boki_practice_finalreport2018.pdf

IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の影響-建設業』あずさ監査法人2014/5

https://assets.kpmg/content/dam/kpmg/pdf/2016/03/jp-ifrs-practice-issue-revenue-building-construction.pdf#search='%E5%8F%8E%E7%9B%8A%E8%AA%8D%E8%AD%98+%E5%BB%BA%E8%A8%AD%E6%A5%AD'

 

 

実務的なところでいうと、基本履行義務は充足していると思うから収益は認識できる。あとは、工事完成基準か工事進行基準か、原価回収基準のどれに適用されるかだ。工事完成基準は決算書に影響与えなければOKだから、3か月以内で竣工する現場が当てはまるのだろう。10万円、工事期間3か月の現場をちまちま進行基準で工事出来高であげたくない。3か月以上かつ、合理的に工事原価総額が見積れるのなら工事進行基準適用してOKだ。けれど、見積れない場合は進行基準の適用しようがないから、とりあえず原価回収基準で、工事出来高請求しちゃえ!っていうことか。これ、逆ザヤになったらどうなるのだろう。