経済学を0から勉強することにした。
経済の事が分からないまま、30代になってしまいました。会社員としてさすがにまずいなと思い、基礎から学ぶことにしました。参考書は上記「奇跡の経済教室」です。自分の理解を深めるためにもブログとしての残します。
タイトルにある通り、平成の過ちとはデフレでGDPがマイナスになり不景気になることです。この原因を著者の中野剛志さんは、日本政府の失策だと断言しています。なぜでしょう?
そもそも不況の仕組みですが、物価が下がると企業の売上も下がります。
そうすると企業はコストダウンのため従業員の賃金を削ります。よく言う筋肉質な経営です。
私たち従業員は家計に不安を覚え、貯金を増やし節約生活になります。物より金の方が大事なため、貨幣価値は上がり物の価値が下がります。
そうすると物が売れなくなるため、企業は商品を値下げしてでも売りさばこうとし、利益は減ります。下手すれば売れないため、赤字で潰れる企業も出てきますし、派遣切り問題に見られる貧富の差も大きくなります。
また、不況時では企業は設備投資を控えるため、将来の新たな利益創出もできません。当然、銀行から新たな借入も控えるでしょうし、逆にまだ返せてない借入は金利があるため、早期返済の傾向が強まります。しかし銀行も商売のため、新たに融資をさせるために金利を下げますが、そもそも需要がないため貸付することができません。売上も下がるし利鞘も下がるので、銀行も商売あがったりです。
このような悪循環を経て、物価が下がり続けデフレになり、経済成長は滞り様々な社会問題が発生します。これが、平成に覆っていた閉塞的な不況の正体です。デフレは供給過剰かつ需要不足の状態で発生します。
日本の消費者物価指数を見ると、平成は-1.5%~0%で推移し基本マイナスです。また、平成の名目GDPは約500兆円から伸び悩んでいます。悲惨な経済状態です。
総務省「2015年基準消費者物価指数東京都区部 2021年(令和3年)7月分(中旬速報値)」https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
逆に好景気とは、供給不足及び需要過剰な状態です。消費が増え、物価も上がり、従業員の賃金も上がり、設備投資も増え、銀行は大盤振る舞いで融資をする。良いことしかありません。しかし、バブルのような不動産価格が上がり続ける土地神話なインフレは行き過ぎで、崩壊した時の反動が今のデフレにつながっています。つまり、程ほどなインフレが一番望ましいのです。
では、どうしたらデフレを脱出できるのでしょうか。不景気時の企業と家計は経済合理的に消費や投資を控えるため、自然任せでは不景気は脱出できません。民間企業や家計が節約すればするほど、経済全体が収縮します。これを合成の誤謬と言います。
ミクロの視点からすれば死活問題に関わる経済行動のため、マクロ的な経済全体状況が悪化しようが、関係無いっちゃ関係無いです。明日は我が身ですから。そこで、合成の誤謬を治すためには第三者である政府の介入が必須となります。需要喚起には金融緩和し、財政出動を行い、減税する。供給制限にはブロック経済のようなグローバル化の抑制、労働者の保護、規制強化を行います。
しかし、日本政府はデフレ対策とは真逆なことを行いました。増税、グローバル化の推進、財政支出削減、規制緩和などです。日本はなるべくしてデフレになったのです。なぜこんな間違いが行ったのでしょうか?
著者の推測では、合成の誤謬を国の運営にも当てはめてしまったからだと述べています。不景気という企業存続の危機状況では、企業が無駄なコストを削減し、競争力を強化することで強くなるチャンスでもあります。しかし、競争力の無い企業や銀行からの融資でぎりぎり成り立っているゾンビ企業は、潰れるしかありません。確かに既得権益にあたる保守的な権力が淘汰され、新陳代謝は良くなると思います。しかし、企業がそれを行うのは自然ですが、政府が同じ考えで筋肉質になるのは悪手です。個人単位の家計や企業経営と、国家の経済政策は別のベクトルで動いているからです。
政府が有効な対策を実行できないうちの一つに、財政出動を盛んに行うと、日本が赤字になり財政破綻し、国家が滅亡するという強い声があります。それを防ぐために、増税して社会保障を充実させ、財政赤字を賄う。こういうロジックです。
しかし、それをやると国民負担が増え消費や投資が滞り不景気になります。何かおかしくないか?
次回は、現代貨幣理論に基づく貨幣価値を考察し、政府の財政健全化がいかに悪手かを勉強していきます。
今日はここまで!